Hello, あの日のいつか

オタクが「泣く」「泣いた」と言う時、実際に涙が流れているのはそのうちのたった数%なんだろうなと思い、あまり本気にはしないのが常である。私自身も感極まれば本当には泣いていなくても「泣いた」とツイートするし、それを見た人も同様にマジで泣いているとは大抵思っていないはずで。でも、これから私が言う「泣いた」はREALに目から涙が溢れ出たやつで、いつもの盛ったやつとは違うということを先に言わせてほしい。いや弁明が要るほど多用すな、という話ではあるが……


▽以下、YELLOW PASS限定イベント「Gen Hoshino presents “Reassembly”」1月12日@大阪城ホール の超私的なレポート&感想文です。がっつりネタバレ。


▼背景
・イエパス限定とはいえ星野源だぞ!!どっか1日当たれば御の字!!と4日程全部申し込んだら誕生日を除く3日程の席がご用意されて一体どうなってんだ?となった。流石に今の勤務体制で3日連続休みを取るのは難しく、申し訳ないと思いながら11日の方はリセールに出し、12日の方へ行くことに。推しの対面ライブ初参戦、そして人生(ほぼ)初大阪の相乗効果で、現実味がないのにずっとそわそわしているというよくわからない状態で1ヶ月ちょっとを過ごしていた。泊まりがけで推しに会いに行くという経験も今までなく、自分の初めては源さんになるのか……と酔っていた。こうして客観視するとちょっとキモい。

▼物販
・事前通販だと間に合わないので現地でグッズを購入。手提げの袋を早速ホテルに置いてくる迂闊さを発揮し、以前買いそびれていたイエマガフェアの時のバッグを一緒に購入してそれにグッズを入れることにしたが、己の財布の紐がガバガバで笑ってしまった。物販コーナーに来るとまともな金銭感覚が失われるらしい。オーダーシート式ではなくレジでひとつひとつ欲しい商品を言っていくスタイルだったのだが、「スマホショルダーのニセ」と明瞭な発音で注文している時の意味のわからなさといったら凄かった。スタッフも「スマホショルダーのニセの方ですね」と返してくれるのでよりシュール。どういう感情でこのグラサン長髪キメ顔男の方で間違いなしと商品確認をしてるんだろう……今ここにいるということは星野源ファンではないよな……とか考えつつ、売り切れる前にゲットできた。幸か不幸か自分のスマホケースはクリアタイプではないので、ニセを露出させずに利用可であった。

▼開場まで
・物販チャレンジが終了してから、開演どころか開場するまで3時間半もある!長!となり、特に誰とも約束していなかったので、城に行くことにする。前日になんも考えず「『大阪城ホール』ってことは近くに大阪城があるのでしょうか?」とツイートしたらいろんな方から徒歩圏内ですよ〜と優しいリプをもらい、脳直で投稿したことを恥じた。フォロワーの愛に生かされている…… 坂と階段だらけでヒ〜と慄きつつ上まで辿り着く。周りがお堀だからか死ぬほど虫がいた。こんな感想でええんか?
・下山するとホールの南口に何やら列が。フォトスポットである。ソロだしいいかな……と何故か一旦諦めかけ、いや絶対後悔すると思い直して列に並んだ。後ろの人が前の人の分を撮影する善意システムが自然に成り立っているのが凄い。後ろの方、ありがとうございました。服装とタオルの色が全然合わなくて目がチカチカするけど撮ってもらって良かった。
・その後読売テレビの本社に立ち寄りコナンの像などを眺めてからホテルにチェックイン。この旅で一番不安だったのが「宿がきちんと取れているか」ということだったのだが問題なかった。何せ幼少期の家族旅行か修学旅行か合宿以外で他県に寝泊まりしたことがないくらい旅行しない人間なので、自力でホテルを予約するということも初めてだったのである(卒業旅行で海外に行った時も、同行者に超がつくアテンド好き人間がいたため全てを丸投げしていた)。というわけで、ようやく人生の経験値をひとつ獲得したという謎の達成感と、今夜泊まる場所があるという安心感でライブ前に既にひと仕事終えた感じになってしまった。本番はこれからだぞ。
・コンビニで調達した食料で腹ごしらえをする。大阪でもファミチキは変わらぬ美味しさだった。

▼開演まで
・開場から開演まで1時間半。ホールの徒歩圏内のホテルだったので、のんびり着替えたり化粧を直したりできた。にもかかわらず、せっかく買った速攻ブルーベリーも飲み忘れたし持参した双眼鏡もホテルに置いていった。ポンコツ
・すっかり日も落ちて暗くなった道をてくてく歩いていく。心持ちとしては出陣に近い。声をかけてくださったフォロワーさんたちと合流し、挨拶しつつそのまま入場の波に乗ってどんぶらこと移動。初めてお会いする時、絶対「実在されてるんですね……!」みたいなことを言ってしまうのだがもう少しまともなことは言えないのか、と思う。別に相手がAIであることを疑ったりしているわけではないのだが、生身で動いている姿を目の前にするとその強烈な実在性に回路が焼き切れるのか、本当にいたんだ的な言葉が口から出てしまう。悩ましい。文章と違って時間をかけて推敲できないおしゃべりは得意ではなく、終始ワワワワとバグりながら言葉を繋ぐので妙な日本語を口走っていないか心配になる。変なこと言ってたらすみません。でも直接お話しできて嬉しかった。
・身分証の準備をお願いしますー!言われて更新したての免許を握りしめたらその先に控える消毒コーナー。消毒終わってから言ってくれ。
・無事入場しフォロワーさんたちと別れて自席へ。スタンドのHブロックでステージの上手側(と言うのか?あのセッティングで)だった。タオルを首にかけている人が多くて眼下の景色がピンク。そわそわ。

▼ライブパート(星野源)
・冒頭、Assemblyの中止から3年〜という映像が流れる。私はMIU404の志摩一未をきっかけに星野源に沼ったのでファン歴としては2年半弱といったところ。比較的年輪の外側にいる人間で、3年前にイベントが中止になったことも今回のReassemblyの開催告知の際に初めて知ったくらい。ハマった時が自分にとってのベストタイミングだと思うようにはしているが、3年前に涙を飲んだファンと同じ温度にはなれないのは事実で、故にこの映像は昔から推してる人にはたまらないんだろうなと一歩引いたところから見ていた。のだが。右下からどよめきが聞こえ、えっそっから出てくんの?!と慌てて目をやると、主役が颯爽と現れた。その時、不意に眼球が曇った。おいコンタクト、とまばたきをして気づく。これは涙だと。推しの背中を見ながら私は泣いていた。まだ歌も聴いていないのに、自分がどういう感情なのかもわからないままに頬が濡れた。もうどのタイミングだったか記憶が曖昧だが、周りが一斉に席を立ち始めたのでつられてゴソゴソ立ち上がる。星野源のライブは初っ端から客席総立ちらしい。1曲目は『化物』で、この曲の間はずっと目から水が落ち続けていた。途中手拍子をやめて首にかけたグッズのタオルで目元を押さえ、ライブなのに本来の(?)使い方することあるんだ……など思う。こんなつもりじゃなかったのに、本当に何が起こるかわからないものである。自分の情緒的に言えばこの入場の瞬間がReassembly最大のハイライトだった。テレビでどアップの顔を見るより、数十メートル先の小さな背中に「生きている」と思った。これのために私はここに来たのだと思った。

そういうわけで以降余生──という感じになり、時折うっすら涙が滲むことはあっても基本的にはずっとニコニコニヤニヤしながらイベントを楽しんでいた。
(1/27追記:最初源さんが自転車で登場したと書いていたが、それはライブパート終わってトークパートに入った時の再入場の話だったことに横浜公演で気づく(!) 記憶が混濁していた模様。失礼しました)

・源さんのライブは手拍子がデフォルト、というより裏打ちで手を叩きたくなるようなビート感の曲が多いんだなということに改めて気づく。スペースが許せばサイドステップしたい曲もあった。直近で行ったライブが米津玄師だったのだが、米津は手拍子するような曲がほぼないのでこれだけ手を鳴らすのは新鮮な気分だった。裏拍取るのは俺に任せてくれ。
星野源、年齢を重ねるごとに美しくなっていって凄い。人目に晒される仕事をしているとどんどん磨かれていくんだろうなとは思うものの、若い頃より今の方がツヤっとしてないか?本当にもうすぐ42歳なんだろうか……髪のスタイリングが本当に好みでありがとう(ありがとう)……
・イエパス会員限定イベントだから昔の曲も、ということで個人的には耳に馴染んでない曲も2、3曲あったものの、心地よく聴いた。もし限定イベでなければもうすこし最近の曲の割合が多かったんじゃないかと思う。今の源さんの声で『知らない』が聴いてみたい。星野源マニアと言われてもしっくりこないファンたち、星野源の変態と言い直されてメッチャ拍手してたの面白かった。
・『うちで踊ろう(大晦日)』について、リリースしてない曲で紅白に出させてくれるNHKは寛容だみたいな話をしていて、流石NHKの寵愛を受ける男……と思った。そして、たぶんライブで歌うのはこれ(Reassembly)が最後になるだろう、とも言っていた。コロナ禍で誰とも会えないような状況の中でどうにかして繋がれないかと作った曲だから、もうこの曲を歌わなくていいようになってほしい(なったらいい)、みたいなニュアンスだった気がする。確かにそうだな……と。そして「生きてまた会おう 僕らそれぞれの場所で 重なり合えそうだ」という歌詞を聴きながら、MIU404シナリオブックのあとがきで野木さんが「どうか死なないでください 生きていてください」という言葉をくれたのを思い出してまた少し泣きそうになった。私はあなたたちのおかげで今生きていられます。その次の曲『Continues』が「命は続く 日々のゲームは続く」と歌うのもまた沁みた。
・歌詞に関連して。1曲目の『化物』では「誰かこの声を聞いてよ」と歌うのが8曲目の『SUN』では「君の声を聞かせて」になるのがしみじみ好き。これが意図したセトリなのかはわからないけど、リリースもこの順なのでなんとなく重ねてしまう。
・『喜劇』生で聴けて良かった……この曲に救われた人がいっぱいいるんだろうなと思っていたら、源さん自身が自分で書いて救われたと言っていて胸がきゅっとなった。
星野源ライブパートの締めは『Hello Song』で、2021年末の各音楽番組や2022年頭の宴会でこの曲を歌いまくってくれていたのをまるっと回収する有言実行ぶりが胸アツすぎた。今思えばその頃からこのイベントの実行に向けて動いていたんだろうか……?ちょっと準備期間がどれくらいのものかわからんけども。ずっといつか笑顔で会いましょうと言い続けてくれた人が、本当に会える機会を設けてくれてその約束の歌を最後に歌ってくれる。奇跡のような光景だった。この景色のためにどれほど力を尽くしてくれたのか。想像するだけで頭が下がるし、これからもファンでいさせてほしいと強く思った。

トークパート
・転換の繋ぎのビデオメッセージ、水谷千恵子の登場で突然様子がおかしくなる。
・ズボンが股擦れで破れ足が開けなかったと告白する寺ちゃん、新幹線の中でそのツイートを目にしてはいたがまさか昨日の本番中のことだとは思わず爆笑。今朝新調したから大丈夫と足を広げて見せたところから、四股踏んでるみたい→このステージ土俵っぽくない?→聖太さん行司ね の流れが完全に動画版ANNだった。ステージにぶっ倒れてゲラゲラ笑う源さんはたぶん会場にいた誰よりも目の前で起こることを楽しんでいて、その様を見られたことが本当に幸せだったなと思う。推しが元気に笑って過ごしてくれればもう何も望まん。
・関東勢の自分もイカ焼きなるものが何かわからず源さん状態だった。翌日しっかり食べて帰った。美味しかった(小学生の日記か)。
・客席の顔がよく見えるという話、え〜マジすかぁ?となりつつ、四方八方に意識して目線を配ってくれてるのは嬉しかった。自分の悲しい思い出を反面教師にしてそうするようにしてるとのことで、こんな大舞台で活躍する側の人なのに常に自分が誰かのいちファンだった頃の目線を持ち続けられることが凄いと思う。これはライブパートだったけど、セッティングの都合上どうしても背中を向ける位置の客席に対して「お尻ばかり見てて飽きませんか?」は笑った。飽きないよたぶん。円の状態でパフォーマンスするのが好きというのはなんかわかるな〜と。クラシックでも室内楽やパートごとの練習では半円かぐるっと円になることが多いので、少人数でアンサンブルする時にこの配置にしたいのは体感で納得できた。
・武ちゃん、さくちゃんへの質問コーナー。お馴染みの二人なので勝手にそう呼ばせていただいています。ライブ中ソプラノ(サックス)・アルト・テナー・フルート・クラリネットが手元足元に控えてる武ちゃん、「どれから習い始めましたか?」に対して「習ってない」といろいろ予想外の回答。独学でプロになっておられる???サックス間で持ち替えはまだしもフルートとクラリネットに手を出してモノにしてるの凄すぎる。「プライベートでは一途です(※既婚者)」
・ついにニセ明登場。正直ニセさんのことはよく知らないのだが本家公認らしい。そうなんだ。イカ焼き食べてきたとしれっと言ったところに「どんなイカ焼きでした?」と追及された時の「うっわやっべぇ……」みたいな間と表情がありえんほどかわいくて面白くて、ニセ・墓穴・明最高だった。
・みんなが一斉にシャッターを切ったらどうなるのか知りたいという謎の好奇心に付き合わされてニセ明と寺ちゃんのツーショを撮る羽目に。助けて。

▼ライブパート(ニセ明)
・またしても繋ぎのビデオメッセージ。さっき星野源宛にくれた人にそのままニセ明宛のメッセージを要求するのひどくて笑う。しかもほぼ全員別人格だし……萌音ちゃんがウケすぎてリテイク連発しててそれはそうだろうとなった。そういえば友近と水谷千恵子とそれぞれからフラワースタンドが届いていたのを思い出した。なんだこの徹底した祝い方は。あと雅マモル、「ニセさんの雅も見てみた~い」はガチで意味不明なことになるからやめな?
・ステージの周りに20個弱のミラーボールが配置されていて派手だな~とずっと思っていたのだが、それよりもギランギランの衣装を纏ったニセさんがステージに躍り出てきてやばかった。自己主張の塊。
・「ニセ明」という存在はふざけ倒しているのに声帯が星野源と同じだから普通に歌が上手い。むしろ前半で温まっている分星野源より声出てたしロングトーン長かった。我々は何を見せられているんでしょうか?
・『君は薔薇より美しい』のサビ終わりで「一緒に!」って言われたけどちょうどそこが変拍子になってて客はこの手拍子はどこに入れれば?と戸惑っておりそれどころではない。
・『なめとんか』ただの星野源でした。クソよかった。武ちゃんのドエロサックスがドエロかった。
・最後は源のカバーすっかと『異世界混合大舞踏会(feat.ニセ明)』だった。照明が暴れ散らかしててまさに異世界混合大舞踏会の様相を呈していた。この曲に限らず各曲照明が気合入っていたし、源さんは毎秒MVみたいな仕上がりを見せつけてきた。適当に感じる部分が全然なかったな……
・ニセで締めかと思ったら最後は再び源さん登場!ニセを呼びに行って楽屋で気絶していたとのこと。最後四方それぞれにメンバーみんなでペッコリしてくれた。アンコールなどはなくすぱっと終了。その潔い感じも良かった。

▼まとめ
・繰り返しになるが、源さんがめちゃくちゃ楽しそうにしていて、その姿を見られたことが何より幸せだった。3時間あるイベントの半分近くをニセ明という別人格が仕切っていたのは傍から見ればよくわからない構成だが、源さんはファンは受け入れてくれるだろうと思ってこの構成に踏み切ったに違いなく、そうやって信じてもらえた・好き勝手暴れても許されると思ってくれたということが、何ものにも代え難く嬉しかった。私が星野源を信用・信頼しているように、彼が私たちを信用・信頼してくれたらこれほど素晴らしいことはないと思う。
・バンドメンバーがもう凄い。毎度うめぇ〜〜〜〜〜と思うが、なんというか星野源にジャストフィットしてるんだよな……ニセ明も存在はギャグだけど中身はh…………だしサウンドがべらぼうにバッキバキにかっこいいのでガチのライブパートとして成立してる。仮にニセ明の単独ライブがあったとしても余裕で金出せる。
・マナーの良いファンばかりで快適に過ごせた(少なくとも自分の周りに迷惑な客はいなかった)。あまり内輪褒めで民度高いこの界隈最高♡みたいな盛り上がり方はしたくないが、推しに恥じない自分で在ろうと意識している人に囲まれると自分の背筋もちゃんと伸びて、胸を張って星野源という人を応援できる気がする。

ホテル戻る前にコンビニ寄って夕飯を買い、そういえば部屋に歯ブラシなかったわ〜と歯ブラシと歯磨き粉も買ったらホテルのフロント階にまとめてどっさり置いてあった。私はこういうところがめちゃくちゃある。

次は横浜公演〜!無事に終わりを迎えられるように祈りつつ。私は27日にまた会いに行きます。

ニセ明と寺ちゃんのツーショット(※撮影・投稿OK)